ウクライナの和平を巡る2月28日のアメリカとウクライナとの大統領会談は、両首脳の口論の末決裂となった。ロシアが停戦協定を守る確証もないのに、ウクライナが鉱物資源をアメリカに提供するというのだから、初めから無理な交渉だったと言わざるを得ない。

それにしても、当事国のウクライナを差し置いて、ロシアと停戦交渉を進めようとするトランプ政権は、かつてヒトラーの恫喝に屈し、結局チェコスロバキアに犠牲を強いたチェンバレンの愚行を彷彿とさせる。アメリカとしては、金のかかるこの戦争を早いところ終わらせて、国富が吸い取られるのを食い止めたいと考えているように見える。だが、果たしてそれはトランプの個人的な打算であろうか。