『随想録』は、2026年2月から文語体で記事を配信しています。
近年、日本語の書記言語では急速に口語化が進んでいます。話し言葉に近い表現は一見するとわかりやすく感ぜられますが、その一方で、文法や語法に対する意識が薄れ、誤用や不統一が目立つようになってきました。特に助詞や活用の扱いでは、書き言葉としての安定性が損なわれていると感じます。
また、現代仮名遣いは表音表記を原則としているにもかかわらず、それが徹底されているとは言えません。「は」と「わ」、「へ」と「え」のように、発音と表記が一致しない例が残されており、言語体系として見たときに不合理な点を抱えています。こうした仕組みは、学習者に余計な混乱を与える原因にもなっています。
新字体についても同様です。例えば、同音の漢字による書きかえなどは、本来異なる意味を持つ語の区別を曖昧にし、漢字が持っていた意味の精密さを弱めてしまいました。利便性を優先した結果として、文字本来の機能が損なわれている面は否定できません。
その点、活用が規則的に整理されている文語文法は、構造が明確で、論理的な文章を書くのに適しています。さらに、康熙字典体に代表される伝統的な字体は、字形と意味の対応関係がわかりやすく、文章に格調と正確さを与えてくれます。これらは単なる古い形式ではなく、日本語が長い時間をかけて培ってきた知的な基盤です。
だからこそ、言語文化を墨守する立場としては、記事を書く際にあえて文語体を用いることで、文語文法や康熙字典体を保護していきたいと考えています。それは懐古的な姿勢ではなく、日本語の秩序や精密さを保ち、次の世代へ伝えていくための試みです。書き言葉としての日本語を大切にするために、伝統的な文法と字体には、今もなお十分な価値があると考えています。
なお、配信プラットフォーム「note」での同名の定期購読マガジンでは、2月以降、本サイトの各記事の口語訳を掲載します。それに伴い、定期購読マガジンでは新たに各記事の単品販売を始めました。一本あたり110円(税込)から販売します。
「note」定期購読マガジンの口語訳と併せて、『随想録』で文語体の奥ゆかしさを是非味わってみてください。