「トランプはやはりアメリカ人だった」──ドナルド・トランプがグリーンランドに関心を示したとき、筆者はそう思ったものだった。このグリーンランドの購入構想や支配権への言及は、しばしば思いつき、あるいは異例な恫喝外交として語られてきた。しかし、このような評価は、アメリカ外交を長期的、構造的に捉える視点を欠いている。むしろ、トランプ政権のグリーンランド外交は、アメリカ外交の歴史的特性を極めて率直な形で表出させた事例として理解されるべきである。

拙著『それはカリブ海から始まった』では、アメリカ外交の原型は19―20世紀のカリブ海政策に求められることを明らかにした。そこでは、経済的利害と地理的条件を重視し、勢力圏を早期に自国の影響下に組み込むという行動様式が確立された。この視点に立てば、グリーンランドをめぐる外交も、決して例外的なものではない。

それはカリブ海から始まった──アメリカ外交の原点
1,122円(税込)