物価高は減税効果を全て吹き飛ばす
「朝三暮四」という言い回しがある。猿の飼い主が餌を減らすため、朝に三つ、夕方に四つ餌をやると提案すると猿たちは激怒したが、朝四つと夕方三つにしようと言うと喜んで頭を下げた、という道教の逸話に由来する。二つの対象が実質的に同一であることに気づかず、表面的な差異にこだわる愚かさを示す故事成語だ。そしてこれは、消費税減税に喜ぶ日本の中流家庭の姿でもある。
金利上昇、円安、株高──これらは共通してインフレの進行を示す市場からのシグナルであるはずだ。だが、日本の消費者は長らく金利のない状況に馴れすぎてしまったため、このシグナルの意味するところを理解できていない。一部には、それを徴税官僚の陰謀論と切り捨てて、高市早苗首相とその競合がこぞって掲げる消費税減税の公約を支持する者もいる。だが、減税は需要を刺戟してその傾向に拍車をかけるものである。やがて、消費者たちはその公約が実現した暁には、今以上の価格上昇に苦しむことになるであろう。
海外から見れば、日本の消費者は目先の利益にとらわれる哀れな猿に見えていることだろう。