「純潔」のみを称揚する偽善
売春防止法を見直すための法務省の検討会が24日に始まった。来年の通常国会までに法改正を目指すという。
現代民主主義社会において、個人の自由と国家による規制の境界線をどこに引くかは、法哲学における最大の争点の一つである。特に性という極めて個人的かつ倫理的色彩の強い領域において、国家が刑罰権を行使して介入することの是非は、単なる公衆道徳の維持を超えた思想的な問いを内包している。
自由主義の核心としての「愚行権」
近代自由主義の父、ジョン・ステュアート・ミルJohn Stuart Millは著書『自由論』On Libertyにおいて、「文明社会の構成員に対して、その意に反して権力を行使することが正当化されるのは、他人に危害が及ぶのを防ぐためである場合に限られる」という危害の原理harm principleを確立した。この原理から導き出されるのが、たとい周囲から愚かとか不道徳と看做される行為であっても、それが自己の範囲内に留まる限り、国家は干渉すべきではないという「愚行権」の概念である。
この続きを読むには