歴史は社会系学問にとっての実験に相当する
社会系の学問における歴史の役割は、自然科学における実験のそれと対比することができる。林檎を手放せば床に落ちる。しかし、誰かが林檎を受け止めて床に落ちなくなるということも当然有り得る。だが、誰かが林檎を受け止めるというのは、いつどこでも起こり得る事象ではない。実験とは、そういう特殊的・偶発的な要素を捨象し、特段何の変化も起こらなければ手放した林檎は床に落下する、という一般的な傾向を見極める営みなのである。こうして我々は、かの有名な万有引力の法則を自らの目で確かめることができるわけだ。
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