2015年6月1日

ラテン語サイトの開設によせて

学術研究成果公表サイト開設のお知らせ


この度、ラテン語サイトLiberae Filiusを開設する。これは、ウェブ上にて言論を展開している筆者の旗艦媒体として、あらゆる学問を包摂する筆者の哲学上の省察を公表するものである。その主旨として、当該サイトの概要ページの日本語訳を以下に掲げておく。

Was du geschlagen, zu Gott wird es dich tragen!
(汝の打ち鳴らしたるものが、汝を神の御許へと導かん!)

──グスタフ・マーラー、交響曲第2番

デルポイの神託「γνῶθι σαυτόν(汝自身を知れ)」が示す通り、自分自身というものは森羅万象を私に映し出すための媒介役である。そして、その映し出された光景を理念へと昇華させることができるという点で、他の生物たちにはない大いなる特性を人間は有している。したがって、その理念を何らかの形で表現することは、人間のみに課せられた義務であり、またそれは人間たる存在の証明以外の何物でもない。ここに示されているものは全て、私自身が捉えた世界の大きな全体とその本質、そして諸物の根本的真理である。

このサイトがラテン語によって著されている理由は以下のごとくである。一つは、ラテン語が文法や表現の面で整備されている言語である点である。これにより、私の主張が言語の歪みによって捩じ曲げられることはなくなり、私は自らの思索の結果を的確に表すことができる。また逆に私の思索の方も、論理明快なラテン語の影響を受けて、その姿がより鮮明になることが期待できる。いま一つは、ラテン語が古典語である点である。すなわち、現代人の使用による改変がないため、記した内容を長期にわたって保存することができる。以上2つのラテン語の利点により、ここに公にされる私の思想は、最も洗練された形で、且つ時代の変化に耐え得る状態で維持されることになる。

知性を伴う精神的努力は、その労苦に比べれば甚だ実り少ないものである。だが、ここでの試みによって、真理に基づいた私の哲学は、必ずや時代を越えて息づき、遠い後世にまで永続するだろう。さればこそ、我々は真理の探究を始めよう。

2015年6月 名古屋
玉城武生


今後Liberae Filiusにて公開予定の特集
http://www.takeotamashiro.com/p/diplomatia-caribaea.html
近代産業社会の特質とアメリカ合衆国のカリブ海政策
(2011年・名古屋大学法学部卒業論文)

要旨
アメリカ合衆国の対外進出は、1898年の米西戦争から本格化し、その後カリブ海一帯へと干渉の手を広げていった。本論文の目的は、合衆国の対外進出の発端となったカリブ海政策を、近代という歴史的文脈で捉え直すことにより、一部の組織による利益の独占が進むメカニズムを明らかにすることにある。

本論文ではまず、第一次世界大戦の発生経過を例に挙げ、国内における特定の産業に注力する国家どうしが膨脹志向を伴いながら、自国製品の輸出先と原料供給地確保のため、人口が集中する地域を巡って、互いに争うようになることを指摘する。次に、ギルディッド・エイジ期の合衆国経済の特徴を検証し、合衆国が以上の例と同様、工業化によって向上した生産力の維持・加速のため、重要な水路且つ原料の豊富なカリブ海地域を影響下に置こうと努力を傾けてきたことを、モンロー主義の真意と地理的状況から明らかにする。結論として、現在の合衆国の世界戦略はいわばその延長であり、世界の超大国という同国の今日の地位も、急速な工業化に加え、限られた権益となる地域を独占的に手中に収めたことに起因するという見解を示す。