彼らは人間としては未完成である
電車でも店でもどこでも、ところ構わず泣き喚く赤児は、何時間でも倦むことなく吠え続ける犬と何ら変わるところはなく、つまり動物と全く同一の存在だ。というのも、彼らには人間なら必ず具えている理性が徹頭徹尾欠けているゆえ、過去にも未来にも思慮することなく、専らその場その場の感情や慾望に従って動いているからである。要するに、彼らは姿こそ人間ではあるが、実質的にはまだ人間になっていないのである。尤も、ほとんどの者は人間になりきれないまま無駄に齢を重ね、くたばっていくのだとはいえ。